医療的ケア児のこざるですが、多発奇形という事で色々持っています。
まず大雑把に診断名から
(赤字は妊娠中に、青字は出生後に、黒字は成長とともにわかったもの。)
*奇形症候群(先天性多発奇形)
- 第1第2鰓弓症候群(ゴールデンハー症候群)
*形成外科分野
- 唇裂・口蓋裂・顎裂
- 小耳症(右耳→耳介無し外耳道・内耳無し、左耳→耳介低形成・外耳道有り内耳有り)
*小児外科分野
- 嚥下障害(胃瘻)
- 食道瘻孔(食道と気管の間に穴が開いていた)
- 睡眠時無呼吸症候群(気管切開・喉頭分離)
- 鎖肛
*小児神経科分野
- 右小脳低形成
- 脳梁低形成
*眼科分野
- 右眼瞼下垂・眼球固定・斜視
- 左眼振/若干の顔面麻痺により眼瞼異常
- 眼瞼異常によるドライアイ
- 左角膜びらん(←ドライアイからの角膜びらん)
- 泪鼻管形成異常(詰まりやすい)
*耳鼻科分野
- 重度聴覚障害(聾→人工内耳装用)
*整形外科分野
- 先天性側弯症(左肋骨が一本多い)
- 外反足
- 若干の二分脊椎(レントゲンで名残を発見)
それぞれについてざっくりと紹介していこうと思います。
第一・第二鰓弓症候群
鰓弓(さいきゅう)とは、妊娠4週初め頃の胎児にできてくる隆起性の構造体で、顔面や頚部のさまざまな器官(特に骨と筋肉)を作るもとになるものです。この鰓弓には頭側から順に番号がつけられており、第1から第6まであります。第1、第2鰓弓症候群とは、このうち第1鰓弓および第2鰓弓に何らかの異常が発生し、ここから作られる骨や軟部組織に発育障害が起こる結果、主に下顎や耳、口などに形態異常を生じる先天性疾患です。片側性に起こることが多い(約80%)ので、顔面は非対称となります。
発生頻度は出生3500人に1人位で、男女差はなく、遺伝的な関係は明らかではありません。
一般社団法人形成外科学会HPhttp://www.jsprs.or.jp/member/disease/congenital_anomaly/congenital_anomaly_10.html
図解で解説しているサイトも紹介します。https://medical-symptoms.net/archives/4615
こざるは、口蓋裂・小耳症があったため、この診断がされました。
診断名が何か知りたくて、同じ大学病院内の”小児科遺伝外来”を紹介され、診てもらった時についた診断名です。
ここの先生に初めて背骨を整形外科で診てもらった方がいい、と同じ大学病院内の整形外科を紹介されました。そこで先天性側湾症の診断が出て、更に担当医師が変わった時に手術が可能な別の大学病院の整形外科を紹介されました。
ゴールデンハー症候群
ゴールデンハー症候群(Goldenhar syndrome:GS)は、眼耳脊椎形成異常症(oculo-auriculo- vertebral dysplasia:OAV)としても知られ、まれな先天性症候群であり、下顎低形成による顔 面非対称性、耳介および/または眼の奇形、ならびに脊椎の異常という古典的三徴が特徴であ る。
https://www.orpha.net/data/patho/Pro/other/Goldenharshokogun_JP_ja_PRO_ORPHA374.pdf
その他奇形症候群と合わせて紹介してあるサイト(PDF)もあります。http://www.nanbyou.or.jp/kenkyuhan_pdf2014/gaiyo039.pdf
この二つが、先天性疾患名を記入する時に使われます。
診断書をもらう時には大体”先天性多発奇形”か”第一第二鰓弓症候群”と書かれていて、”ゴールデンハー症候群”は整形外科以外では使っていない感じです。
診断名がわかりたい
まだ赤ちゃんの頃は診断名(〜症候群など)がついていないことがとても気になっていました。
こんなに色々抱えていて、立派な(?)名前も無いなんて・・・と妙な落ち込み方をしていたものです。何か名前をつけて自分の中でカテゴリー分けしたかったんだと思います。
”先天性多発奇形”では何が何やらで、目の前のたくさんの症状(障害含む)をどう受け止めていいか、モヤモヤしていました。
“奇形”という言葉が前面に出てくる名前にも抵抗感があったと思います。
小児科(主に小児外科)のお医者さんは一通り調べた後は、”先天性多発奇形”でこの件は終了という感じで、親御さんがどうしても気になるなら、と”遺伝外来”を紹介したという経緯です。
出産前(8ヶ月)に染色体検査はしていて、陰性。内臓も問題ないと言う事で特に追加の検査をすることはありませんでした。
その当時わかっている症状から色々名前を探してくださり、口蓋裂や小耳症、異常部位が右側に多いこと等から(左右非対称)、”第一第二鰓弓症候群”となりました。でも、鎖肛は発生的に別の問題らしく、何故鎖肛になったかはわからないままです。
”診断名”の役割
とりあえず”第一第二鰓弓症候群”と名前がわかったことで、胎児のどの段階で発生したものか、知ることが出来ました。
これはとても大きな意味がありました。
胎児のいよいよ初期段階となれば妊娠中の生活の影響は関係ないし、そもそも自分自身妊娠したかわからない頃の話では、対策の立てようもなかったわけです。(食事や睡眠は元々気を使っていたので)
開き直ったと言うわけではないけれど、初期から何かある状態だったんだ、と納得することが出来ました。そうすると、こんなに色々持っていてよく流産しなかったなと、そちらがまず感動でした。
染色体など胎児に異常があると流産しやすいと言われていたので。
そんな状態でもこざるはお腹の中で精一杯大きく育ってくれて、右小脳が低形成にも関わらず足が良く動いていて、お腹をガンガン蹴っていました。(生まれた後も、足は相変わらず元気に蹴っていました)
この時に、こざるは色々抱えているけど、とにかく頑張って生まれてきて外の世界を知りたかったんだろうな、と、こざるの生命力を感じました。
余談ですが、生まれて1日経ってから初めてNICUに会いに行った時、保温器のベッドにいるこざるが足をバタバタさせているのを見た時、もう私のお腹の中にはいないのに、いた時のようにお腹を蹴られている感覚を感じました。
ファントムペイン(切断して無くなった足が痛いと感じる現象)みたいなものだったのでしょうか。
とにかくよく蹴られていてしんどかったので、その感覚に、”あ〜本当にお腹の中から出てきたんだ”と実感しました。
診断名を知ることで、知りたかった情報
- 余命に関係がある事か。
- 知的発達に影響するか。
- 将来的に予測される病気はあるか。
この3点が気になっていたと思います。
どれも必ずしも影響がある訳ではない事は、わかりました。
でも脳の低形成の影響で、嚥下機能に問題が出ていたので生まれた時から経管栄養で、1歳の時に胃瘻にしました。
誤嚥による痰が多かった事と、寝ている時に舌根沈下で呼吸状態が悪くなった事で、5歳の時に気管切開をしました。
大きな手術の後に痰が増えて吸引が大変な事がありました。これからも大きな手術はあるので術後の誤嚥性肺炎を予防する、という事で11歳で気管と食道を分ける喉頭分離手術をしました。
というわけで、胃瘻(経管栄養の注入)・気管切開(カニューレからの痰の吸引)・在宅酸素(気管支炎などになった時や睡眠時呼吸状態がよくない時に使用)という医療的ケアが必要な状態となりました。
医ケアのこざるはこうやって誕生しました。
障害の紹介②に続く・・・
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